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羽衣(はごろも)【能ものがたり】

更新日:2018年6月9日

白砂青松。富士山の上に白い月の残る明け方。

天人が舞い降りて水浴びを愉しんだ。脱ぎおいた羽衣を漁師に盗られ悲しむ天人。

漁師は羽衣を返す交換条件に、月の舞楽を乞う。羽衣を纏わなければ舞うことはできない。疑う漁師に天人は、


 「いや疑いは人間にあり。天に偽りなきものを」

観世流能楽師  山下あさの  公演「羽衣」2014年

天人は月の満ち欠けを司る舞を日本国に伝え、東遊として永く継承された。

乙女の衣は春の霞の色。たなびく裳裾は七色の虹。天の恵みを地上に降らし、再び天へと昇ってゆく。

折しも夕日が富士山を染めた。さながら宇宙の中心に立つという須弥山の如く。染め色は蘇命路。


富士は不死を顕すという。


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