一ノ谷の合戦で敦盛の頚を打った熊谷次郎直実は、決意の通りに出家し、蓮生と名乗る。
敦盛の供養に須磨を訪れた時笛の音が聞こえ、若々しい草刈男達が現れる。
小枝、蝉折、色々の笛の名。草刈が吹く笛は青葉の笛。住吉ならば高麗笛。
我らは忘れ捨てられた、塩木の焼け残りのようなもの。
蓮生の弔いにひかれ敦盛は修羅の姿を現した。
戦闘の前夜、平家の陣中から聞こえた管弦の音。誰もが心を奪われたその笛の音。兜の中の少年の貌は眩しいほどに美しく、どこに刃を立てていいのかもわからぬ。
生前は敵であったが今となっては法の友。
共に蓮に生まれようと語り、さりゆく後姿も潔い。
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