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蟻通(ありどおし)【能ものがたり】

紀貫之が門前と知らず乗馬で通りかかったところ、突然雨降り雷鳴轟き馬から振り落とされてしまった。傘をさし現れた社人。

「蟻通の神は厳しく物咎めをなさる。神前で下馬せぬとはもってのほか」

貫之が和歌を手向ける


  雨雲の立ち重なれる夜半なればありとほしとも思ふべきかは


神は歓び赦される。


「蟻通」を詠み込んだ和歌の意は、あの雲の向こうには星が輝いていると信じている。

迷いの多い人の心。しかし神の導きにより輝きを取り戻すに違いない。

歓んだ蟻通明神は社人に憑依し、人の世を寿ぎ還っていく。

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