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安達原 あだちがはら
~ Adachigahara ~
あらすじ那智東光坊の阿闍梨祐慶は山伏となり、諸国修行の旅に出た。一行は奥州安達原に至り宿を借りる。
粗末な庵の中でひとり、境涯を嘆く女はいわくありげである。室内には見慣れぬ糸車(枠桛輪:わくかせわ)があった。女は祐慶の求めに応じそれを使って見せる。枠桛輪は己の生涯そのものだ。定められた宿命に限られた人生は巻き取られ、過去を巻き戻すことはできない。微かに差し込む一筋の月光は、魂の救済を求める心の深層を思わせてやるせない。
女は薪を取りに出るが、留守中奥の間を覗かぬよう念を押す。従者が隙をみて寝室の内を覗くと、人間の屍骸が山積みにされていた。一行は慌てて逃げ出すが、人食い鬼の正体を暴かれた怒りに燃えて鬼が追ってくる。しかし山伏の験力によって鬼は調伏され、夜嵐の中に消えてゆくのであった。
観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「安達原」
那智東光坊の阿闍梨祐慶は山伏修行の途上、奥州安達原で宿を借りる。 粗末な庵で境涯を嘆き暮らす女主人。
観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「安達原」
女は一夜の慰みに枠桛輪を回し糸を紡ぐ。 糸繰り歌は華やかな回想もあり。それは一層切なくもある。
観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「安達原」
一筋の月光が射し入るその時、しんとした庵でひとり糸繰る夜は、過去へ時を戻せるような幻想を見る。
観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「安達原」
薪を取りに出かける女。けして奥の間を覗くでないと堅く禁じ、祐慶もまた覗かぬことを堅く約束する。
観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「安達原」
祐慶が寝入った隙に、従者が奥の間を覗いてしまう。 そこには累々たる死体の山。血膿が天井からぽたぽた。
観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「安達原」
さては人食い鬼であったか。驚き逃亡す る一行を鬼が追いかけてくる。 正体を暴かれた怒りは凄まじい。
観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「安達原」
襲いかかる鬼と、法力で対抗する山伏。 激しい戦いは、女の心中の葛藤の激しさを現している。
観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「安達原」
力尽きる寸前に、鬼の執着は奥の間へ向かうのだ。 多くの人間が抱える闇を象徴するように、黒塚はある。
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