楊貴妃 ようきひ
~ Youkihi ~
あらすじ
絶世の美女との誉れ高い楊貴妃。愛しすぎた玄宗皇帝は逆臣の反乱に見舞われ都から逃亡を余儀なくされた。軍隊から声が上がる。「楊貴妃のせいだ。楊貴妃を殺せ!!」貴妃は無惨な死を遂げた。やがて形勢が変わり皇帝は都へ帰還する。皇帝の悲しみは深く、暗い顔が晴れることはなかった。
ある日評判の霊能者(方士)が楊貴妃の魂を探す為に派遣された。道士は次元を超え仙郷で楊貴妃の魂と出逢う。
貴妃もまた皇帝を想い、泣き暮らしていた。皇帝の変わらぬ愛を伝える方士の言葉に涙する楊貴妃。
妃の心も同じであるとお伝えします。形見の品を求められて不死の鳳凰の簪を渡す。それは永遠の象徴。
ふたりだけの誓いの言葉を証拠にと求められて、七夕の夜の約束の言葉を。
「天にあらば願わくは比翼の鳥とならん 地にあらば願わくは連理の枝とならん」
楊貴妃は想い出の舞を舞い方士に想いを託す。いつか再び恋しい人の魂とめぐり合うことを信じて。
反乱で失われた楊貴妃の魂を求めて、玄宗皇帝の為に仙郷に至った方士。 貴妃は壮麗な宮殿から現れた。
皇帝を慕い涙する貴妃の美しさは さながら梨花一枝春雨を帯びて香り立つが如し。
貴妃の魂に出会ったしるしにと、永遠の愛の象徴、鳳凰の簪を預かる方士。
また類なき契りの言葉も共に預かった。 「天にあらば比翼の鳥に、地にあらば連理の枝に」
方士を引き留め再び簪をつけて、楊貴妃は想い出の 「霓裳羽衣(げいしょううい)の曲」を舞う。
宮廷での愛に満ちた、至福の想い出。 しかし出逢うということはいつか別れるという人間の宿命。
方士は簪を預かって、遥か人間界へと去ってゆく。 その後ろ姿を見送って、貴妃は涙にくれるのだった。
華麗な仙境といえども魂の片割れと引き裂かれ、 貴妃の魂はどうしようもない孤独感に沈むのみである。