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半蔀 はじとみ

~​ Hajitomi ~

あらすじ

晩夏、雲林院の僧が夏の修行を終える頃、仏に供える花の供養を執り行う。命あるものすべての成仏を祈る法華経の一節を唱えているといつの間にか白い花が開くとともに、謎の女が現れた。黄昏時に貧しい家の垣根に咲きかかる、夕顔という花です。五条辺りでお待ちしています…と言い残して姿を消した。
僧が五条辺りに出向くと、夕顔の蔓に閉ざされた半蔀の内から先ほどの女の声がする。弔いの言葉に、女は夕顔の花のような清楚な姿で歩み出し、光源氏との想い出を語る。この家を源氏君が通りかかり、見慣れぬ花を手に取ったことから二人の恋は始まった。交わした和歌は「心あてにそれかとぞ見る白露の光添へたる夕顔の花」「寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔」。逢瀬の闇の中で女は儚く息絶えた。
その魂は恋の想い出に抱かれて、半蔀の中へと帰っていく。

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