半蔀 はじとみ

~​ Hajitomi ~

あらすじ

晩夏、雲林院の僧が夏の修行を終える頃、仏に供える花の供養を執り行う。命あるものすべての成仏を祈る法華経の一節を唱えているといつの間にか白い花が開くとともに、謎の女が現れた。黄昏時に貧しい家の垣根に咲きかかる、夕顔という花です。五条辺りでお待ちしています…と言い残して姿を消した。
僧が五条辺りに出向くと、夕顔の蔓に閉ざされた半蔀の内から先ほどの女の声がする。弔いの言葉に、女は夕顔の花のような清楚な姿で歩み出し、光源氏との想い出を語る。この家を源氏君が通りかかり、見慣れぬ花を手に取ったことから二人の恋は始まった。交わした和歌は「心あてにそれかとぞ見る白露の光添へたる夕顔の花」「寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔」。逢瀬の闇の中で女は儚く息絶えた。
その魂は恋の想い出に抱かれて、半蔀の中へと帰っていく。

観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」
観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」

雨季の殺生を避ける夏の修行の終わり。 源氏君所縁の雲林院の僧は、仏に手向ける花の供養を執り行う。

観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」
観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」

美しい女が微笑むように白い清楚な花がひらくと 謎の女が現れて、夕顔と名乗る。

観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」
観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」

黄昏時の夕顔と言えばあの、源氏物語の夕顔の女。 女は供養を頼み、五条辺りとほのめかして、ふと消えた。

観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」
観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」

五条辺りで僧が見た幻は源氏物語の夕顔の宿。 貧しい家に隠れ住む美しい女と、夕顔の花を介して出逢った。

観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」
観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」

花をのせた白い扇に書かれた和歌への源氏の返歌は、 日も暮れたなら近くに寄って、私を確かめてみたら?

観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」
観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」

そうしてふたりの恋は始まった。 白い優しい儚い花に、夕陽にきらきら輝く露が寄り添うような想い出。

観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」
観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」

恋のさ中に闇の中で儚く消えた夕顔の命。 想い出はいつも、最も美しいところに還る。

観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」
観世流能楽師 山下あさの 2019年公演「半蔀」

夜明けとともに白き花の儚い恋は、半蔀の中へ還って沈黙する。

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