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天鼓 てんこ
~ Tenko ~
あらすじ
中国の老夫婦が子供を授かったとき、妻は胎内に天の鼓が降り宿る夢を見た。無事男子が生まれ、ほどなく本物の鼓が降ってきたので子供を「天鼓」と名付けた。少年天鼓が鼓を打つと素晴らしい音がする。噂を聞いた皇帝は鼓を召し上げるが、天鼓は拒絶し鼓を抱いて逃亡した。しかし遂に捕獲され、呂水(河)へ沈めて処刑されてしまう。嘆き暮らす老父王伯の元へ勅使がやって来る。誰が打っても鼓が鳴らないので父親が打ちに来いという。怒りと恐れと哀しみと愛しさと…複雑な想いで宮殿に向かう王伯。父の心に応えて鼓は鳴った。泣き伏す父の姿に皇帝も落涙した。呂水の岸で弔いの祭をすると天鼓の霊が現れ満天の星の中、鼓を打って舞い戯れるのだった。

観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「天鼓」
宮殿に召し上げた鼓が鳴らない。 持ち主・天鼓は皇帝に逆らった罪で河に沈められてしまった。

観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「天鼓」
泣き暮らす老父王伯を呼び出し、鼓を打たせよとの心無い勅命である。

観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「天鼓」
我が子を処刑した皇帝が、父親までも亡き者にしようということか。 しかし懐かしい形見の鼓に会える。

観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「天鼓」
最後に一目、と宮殿に向かうが、いざ近づくと恐怖がつのる。 ご勘弁をと手を合わせるがゆるされず。

観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「天鼓」
意を決して鼓へと進む王伯。打つと妙なる音色が鳴り響いた。 まさしく親子の証であった。

観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「天鼓」
泣き伏す老父を哀れんで皇帝は天鼓を弔う祭を催す。 七夕の夜。河岸に鼓を据えて。

観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「天鼓」
天の川が河面を照らす。天地が星で満たされる夜。 天鼓の霊が浮かび上がった。

観世流能楽師 山下あさの 2018年公演「天鼓」
きらきらと美しく舞い戯れる少年の面影は、老父の心を慰めただろうか。
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