かざみぐさ‥
ぎゃらりい手のお能講座「弱法師」のための和菓子の銘。
盲目の少年が二世安楽を祈るため
天王寺の石の鳥居を訪れるお話し。
どんなお菓子を創ってくださるのかと
とても楽しみにしていました。
お菓子を受け取りにいくと
多津瀬のご主人がお菓子の説明をして下さいました。
かざみぐさ、とは「梅」のことなのだそうです。
その文字の如く、「香りが散るのを見る草」。
「弱法師」の中で主人公俊徳丸は
天王寺で施行を受けます。
施行とは、恵まれない者に行われる施しで
一般的には物品のことと理解されがちですが、
精神的なことも含まれます。
物品の施しを受けようとした乞食である俊徳丸の袖に
おりしも梅の花びらが散り掛かります。
仏は草木国土までも成仏させると誓約された。
ましてや人間が成仏できないはずがない。
そんな誓いの散華の花びら。
俊徳丸には花びらを見ることはできませんが、
梅の香りでそれを知るのです。
和菓子「香散見草」。
真っ白な求肥からほの赤い梅の餡が透けて見えます。
求肥には石の鳥居が右半分、焼き印で描かれていました。
「私は、本物の石の鳥居を見たことはないのだけれど。」
とおっしゃる多津瀬のご主人。
いえいえ、誰よりも石の鳥居を知っておられると思います。
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